kotetzmusumetofafataroのブログ

こつてつむすめとファーファ太郎による映画評論対決

ここが変だよララランド!

デイミアン・チャゼル監督『ラ・ラ・ランド』(2017)をようやっと観た。

全作の『セッション』(2015)は劇場で観たが、今回はBlu-ray視聴。

話題作、かつ賛否両論の作品だったので興味はあったのだがその反面この作品の触れ込みである「ミュージカル映画」には残念ながら興味が無かったのでなんとなく観ないままここまで来てしまった。

作品をざっとのあらすじで言うと、 

「女優を目指すミア(エマ・ストーン)とジャズピアニストを目指すセブ(ライアン・ゴズリング)の恋と夢をミュージカル仕立てで描いた映画。」

という事になるんだろうか。

話そのものはよくある物だが、2017年にミュージカル映画、しかも監督は『セッション』で一躍注目を集めたデイミアン・チャゼルという事で話題性高し。

観賞した感想を結論から言うと、

『結構楽しく観れたけど、いちいち気になる所が有りすぎて振り返るとほとんど何も覚えてない』

というような残念なものに。

良い所も好きなシーンも沢山あるんだけど、投稿タイトルがタイトルなんで、上記の『気になる所』だけを羅列。

エマ・ストーンの顔が凄過ぎる

いきなり身も蓋もない事を書くが、映画のヒロイン=作品中もっともスクリーンに写る1人として考えると、ちょっと顔にインパクトがありすぎて…。

美人は美人なのかもしれないけど、あまりの目の大きさ(浜崎あゆみとどちらが大きいのか)と、あえて野暮ったくさせてる化粧のせいで、なんか「女装したマイケル・ジャクソン」みたいで…。

たぶん観賞中、40回くらい「すげー顔だな!」って言った。

②序盤がPV風

色鮮やかなセット+エマ・ストーンを追い掛けるカメラワーク、全カット妙に決まったルックと、なんだかまるでテイラースイフトのPVみたい…。

1シーン1シーンのインパクトが強すぎて、いくら画が良くてもずっとテイラースイフトは辛い。

正直この序盤のミアパートでややげっそりしてしまって、最後まで観賞(完賞)出来るか自信が無くなる。

③ジャズピアニスト役のライアン・ゴズリングが全然ピアノ巧そうに見えない

これはもうタイトルの通り。

「手ガチガチじゃねーか!」と思ってしまう。

セッションの主人公にも抱いた感想。

④肝心のミュージカルパートに違和感

結果的にこの映画は「ミュージカル映画の皮を被ったジャズ映画」だったと思う。

というかミュージカル映画の皮も別に被らず、映画の売り方としてミュージカルパートを推してるだけで、全体は監督の趣味全開なジャズ映画。

それは全然問題ないんだけど、ミュージカルパートが少な過ぎて、『ミュージカル映画』という認識で観始めたにも関わらずその場面が来ると「うわなんか始まったっ!」と非常に強い違和感を覚えてしまう。

すなわち必然性を感じない。

J・K・シモンズがただのおじさん

『セッション』であれだけ強烈なフレッチャー先生を演じたシモンズが出てくると、それだけで身構えてしまうのに結果的には普通のおじさんだった。

これはただの言い掛かり。

⑥展開の唐突さ

目標はあるが冴えない日々→恋に落ちて→仕事の方も何となくちょっと進展があって→恋がギクシャクし始めて→当然仕事もギクシャクし始めて→でもなんとかなって→エンディング

という、非常によくある展開なんでとってもわかりやすくはあるんだけど、いちいち急展開でまとまりがない印象。

急展開というとトリッキーな流れを作ってるみたいだけど、単に進展を端折ってる印象でただただ唐突に事が運んでる。

映画を観る時に登場人物への感情移入なんてなくてもいいと思ってるけど、それにしてもあまりにも登場人物達に共感が出来ない。

恋愛も失恋も仕事の成功も、そこに至るまでを大幅にすっ飛ばしてるから「へぇー…そう…そっかー…」みたいな同僚との興味のない会話みたいな感想しか持てない。

⑦……

まだいくつかあった気がするが、思い出せず。

まぁそれだけ色々あるという事です。

と、ひとつひとつはよくある事かつ大した事じゃ無いんだけど、全編にわたって波状攻撃的にこれらが襲ってくるので、あまりにもノイズが多く映画が全然頭に入って来ない。

もちろん好きなシーンも沢山あって(セブのバンドのリーダーであるキースのジャズ観とか、現実になったかも知れない未来を想うゴズの表情とか、そもそも全編通して絶妙に変態クサいゴズの顔とか)、楽しく観たんだけど、全体の評価としてはやはり厳しくならざるを得ないかなと。

セッションも上記と同じような理由で全然ノレなかったんで、これがこの監督の作家性なのか、はたまたまだデビューしたてという事でこれから技術が向上していくのか、どちらになるか…。

あとこれは完全に余談だけど、ゴズって『ドライヴ』の時もヒロインなんか微妙じゃなかった?(へ)